企業再建・承継コンサルタント協同組合 政策提言(抜粋 2005年度)
政策提言にあたって
当組合は、主として中小・零細企業の「経営改善型自主再建」を支援するため、2001年11月に経済産業省より法人として認可された事業協同組合であり、各種分野にわたる多数の国家資格者・コンサルタントが所属している。
当組合の構成員は、全国の中小・零細企業の自主再建を支援する取り組みを進めているが、その現場における多くの経験を踏まえ、近年社会問題化している中小・零細企業の倒産を未然に防止し、健全な経営者・起業家の保護・育成を図るため、次のとおり政策提言を行うものである。
【政策提言1】
中小企業再生支援協議会の活動内容を見直し、民間機関のさらなる活用を図るための法整備を求める。
| <その主たる理由> |
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各地域に存在する中小企業再生支援協議会は、地域の中小・零細企業の再生に役立っているものではあるが、各地域によって主要構成メンバーの属性が異なることもあり、その再生手法がまちまちであり、またその権限や責任が必ずしも明確ではないため、当初の目的を完全に達成しているとは言えない状況である。
また一方では、企業再生を専門とする民間機関が充実し始めているが、中小企業再生支援協議会との有機的な連携がなされている訳ではない。
そこで、例えば中小企業再生支援協議会の役割を、相談案件については窓口機能・検証機能・調整機能の3つに限定し、再生に関する実務については民間機関を活用させ、成功案件については一定額の助成金を交付する等の新しいシステムを構築することによって、さらにスピーディかつ信頼性の高い中小・零細企業の再生が実現するのではないかと思われるので、そのような方向の法改正の検討を求める。 |
【政策提言2】
債務免除益課税の取扱いの拡充を求める。
| <その主たる理由> |
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平成17年度の税制改正では、多くの企業再生スキームにおいてその障害の-つとなっていた債務免除益課税について、一定の条件の下に資産の評価損との相殺や青色欠損金に該当しない繰越欠損金の優先的な損金算入が認められることになったことは、企業の再生を目指す当該法人のみならず、これを取り巻く金融機関をはじめとする利害関係者にとって画期的な改正であると受け止められている。
ところで、現在検討され、または実施されている企業の再生・再建計画を見ると、その計画期間は3年や5年以下であるケースは稀であり、多くの場合10年以内の比較的長期の計画期間となっている。これは、毀損した企業の十分な収益力の回復までにある程度の時間が必要なこと、及びなるべく要返済債務の返済期間が長い方が再建企業の資金繰りに良い影響を及ぼす等の理由によるものである。
また、RCCの企業再生スキームや会社更生法の一般債務の棚上げ期間等は10年を一つの区切りとしており、10年以内に再建を目指すことが一般的な再建期間となっている。債務の弁済期間は、会社更生法は20年以内、民事再生法は10年以内とされている。
一方、平成17年度の税制改正で実現した債務免除益課税の取扱いでは、債務免除益が発生した場合、繰越欠損金のうち青色欠損金(繰越期間は発生から7年)以外の欠損金を優先して控除することとしている。これにより再建企業は青色欠損金を温存して、再建期間中に得た利益に対して課税されることが無く極力債務の弁済に回すことができる訳であるが、青色欠損金の繰越控除期間が7年間となっており、8年以上10年以内の再建計画で再建を目指す企業にとっては、計画期間内に青色欠損金の繰越控除期間を経過し、8年目以降法人税の課税を受けながらの債務弁済となるケースが出てくることが想定される。また平成13年9月に公表されている「私的整理に関するガイドライン」においては、再建計画案の内容について、再建企業が「実質的に債務超過であるときは、再建計画成立後に最初に到来する事業年度開始の日から3年以内を目処に実質的な債務超過を解消すること」としており、債務超過解消に3年、それ以降の再建期間で10年の計13年が実質的な再建に必要な期間と考えられる。
再建企業は、計画期間内での要返済債務の全額を完済して初めて再建を果たすことになるわけであり、このようなケースにおいては、青色欠損金の繰越控除期間を承認された再建計画の期間にあわせ、一定の要件の下に現在の7年から最大で13年までに延長することができるよう、新たな措置を要請するものである。 |
【政策提言3】
債権者に対する連帯保証人ヘの説明義務の付加、連帯保証金額の制限等の連帯保証制度全般の見直しと、公的融資に関する代表者以外の連帯保証の禁止、一定要件をクリアした企業に関する代表者を含めた個人保証の禁止等、中小・零細企業金融の健全化を目指すための法改正を検討することを求める。
| <その主たる理由> |
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現行法上では実質的に主債務者と同等の責任を負う連帯保証制度であるが、一般人である連帯保証人自身がそういった過重な責任を自覚して連帯保証人になっているケースはむしろ少なく、債権者の債権保全のため事実上は無制限に連帯保証人が付けられているのが、我が国の金融制度の実状であり、これは諸外国と比較して非常に遅れたシステムであると考えられる。
また、現時点では、公的融資に関してさえ第三者の連帯保証人を付すことを求めるケースが多く、その結果として経営責任とは無関係の第三者連帯保証人が企業の倒産と共に自己破産するという悲劇も続発している。
さらに代表者の個人保証があるために代表者の親族以外の者に対して経営を承継させることが困難であり、さらに連帯保証債務が法定相続されるため、会社を承継しない相続人にも責任が課されるという問題点も最近多く指摘されている。
そこで、債権者に対して連帯保証人ヘの十分な事前説明義務の付加、利息・損害金等を含めた債務全額を無制限に連帯保証人に課すことの禁止、例えば一定資格を持つ第三者専門家の関与を条件としての個人保証の禁止、連帯保証債務の法定相続に関しての責任免除または責任限定措置、その他中小・零細企業金融の健全化及び会社経営を原因とする自己破産者を減少させるための法整備を求める。
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【政策提言4】
企業再生の現場で、いわゆる「デット・エクイティ・スワップ」が有効な手段として認識されているが、まだいくつかの活用阻害要因があるので、これの活用を推進するため、以下の二点を含む法整備を求める。
| 1. |
不動産の現物出資を行う際、現行法上では不動産鑑定士の鑑定評価及び弁護士等の証明を付することにより、裁判所が選任する検査役の検査を不要とする規定となっているが、不動産に関しての高度な専門性を持つ不動産鑑定士を、弁護士等と並ぶ直接の証明者として法文上規定することを求める。 |
| <その主たる理由> |
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不動産の鑑定評価については必ずしも弁護士等の専門分野ではなく、直接その鑑定評価について責任ある判断を下して証明をなすことは困難であり、そのために現物出資の円滑な実行が阻害されている事例も見受けられる。
そこで、不動産の鑑定評価については不動産鑑定士の専門分野であることを鑑み、不動産鑑定士が直接その評価について証明をなす制度とすることによって、公正妥当な現物出資による企業の自己資本率の向上を図ることができるものと考えられるため。 |
| 2. |
いわゆる「デッ卜・エクイティ・スワップ」を行った際、現行の地裁判例によれば、その現物出資に対する株式の発行価格については「券面額」とされているため、税務上の益金算入はなされず、実質的に課税されない状況となっているが、もし「評価学説」によるとすれは、その現物出資行為に何等かの利得があるとみなされ、株式発行企業若しくは出資引受者が課税対象とされる可能性が発生するので、法的不安定性が非常に強い状態となっている。そこで、少なくとも税法上の解釈を一本化し、「デッ卜・エクイティ・スワップ」については課税関係が生じないことを原則とする税法改正若しくは特別措置を設置することを求める。 |
| <その主たる理由> |
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現在の「券面額」を採用するという取り扱いは、現時点ではまだ地裁レベルの判例に依るものに過ぎず、将来、上級審で解釈が覆る可能性がないとは言えない状況であるので、少なくとも課税に対する法解釈の安定化を図ることによって、その利用が促進されると考えられるため。 |
【政策提言5】
不良債権処理と企業再生の過程における「貸倒損失の損金算入」の制度の整備・拡充を求める。
| <その主たる理由> |
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不良債権処理と企業再生を早期に促進する観点からすると、「貸倒損失の損金算入」の要件が過度に厳格であったり、要件自体が曖昧であったりすることは、大きな障害となる。早期の不良債権処理と企業再生に協力すべく、せっかく貸倒損失処理や債権放棄を行おうとしても、それが課税当局に否認され、結局課税の憂き目にあう虞れがあるのであれば、誰しも躊躇してしまうであろう。
これまで、法人税基本通達9-6-1、 9-6-2が金銭債権の貸倒れの要件を定め、同基本通達9-4-1、9-4‐2が「寄付金の額に該当しない」債権放棄等の要件を定める基本的な規範として理解されてきた。
しかしながら、同通達9-6-1と9-6-2はどのような関係に立つか、また部分貸倒れを認める趣旨かどうか等について、必ずしも明確ではなかった。また、 9-6-1、 9-6-2と9-4-1、 9-4-2とが相互にどのような関係に立つか、特に9-6-1 (4)が債権放棄について定めていることをどのように解すべきか等々についても、 さまざまな議論を呼んできたところである。
更に、そもそも、貸倒れ損失の損金算入の要件が曖昧である、あるいは厳格に過ぎるという批判がなされてきたことも事実である。
不良債権処理と企業再生が我が国金融と経済再生のための不可欠の国家的課題であることが広く認識されていくなかで、平成16年12月24日、旧興銀訴訟をめぐって最高裁判決が示した貸倒損失の損金算入の新たな基準は、きわめて重要な意味を持っている。この判決の示した基準は、課税当局による従来の運用に抜本的変更を迫るとともに、貸倒損失の損金算入の基準・要件を大幅に緩和した。
よって、上記最高裁判決をふまえ、この基本通達9-6-1、 9-6-2及び9-4-1、 9-4-2の抜本的見直しと整理が必要・不可欠である。 |
今政策方針に閲する参考資料
■法人税基本通達(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
| <9-6-1> |
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法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。(昭55年直法2-15「十五」、平10年課法2-7「十三」、平11年課法2-9「十四」、平12年課法2-19「十四」、平16年課法2-14「十一」により改正)
| (1) |
会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画の認可の決定又は
民事再生法の規定による再生計画の認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額 |
| (2) |
商法の規定による特別清算に係る協定の認可又は整理計画の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額 |
| (3) |
法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
イ・債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ・行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの |
| (4) |
債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額 |
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■回収不能の金銭債権の貸倒れ
| 9-6-2 |
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法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。(昭55年直法2-15「十五」、平10年課法2-7「十三」により改正)
(注)保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。 |
■子会社等を整理する場合の損失負担等
| 9-4-1 |
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法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。(昭55年直法2-8「三十三」により追加、平10年課法2-6により改正)
(注)子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9-4-2において同じ)。
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■子会社等を再建する場合の無利息貸付け等
| 9-4-2 |
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法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以
下9-4-2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えは業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものてある等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。(昭55年直法2-8「三十三」により追加、平10年課法2-6により改正)
(注)合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。 |
■個人の負担すべき寄附金
| 9-4-2-2 |
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法人が損金として支出した寄附全て、その法人の役員等が個人として負担すベきものと認められるものは、その負担すべき者に対する給与とする。(昭55年直法2-8「三十三」により改正) |
■仮払経理した寄附金
| 9-4-2-3 |
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法人が各事業年度において支払った寄附金の額を仮払金等として経理した場合には、当該寄附金はその支払った事業年度において支出したものとして法第37条第2項又は第3項(寄附金の損金不算入)の規定を適用することに留意する。(昭55年直法2-8「三十三」、平10年課法2-7「十一」、平15年課法2-7「ニ十五」により改正)(手形で支払った寄附金) |
| 9-4-2-4 |
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令第78条第1項《支出した寄附金の額》に規定する「支払」とは、法人がその寄附金を現実に支払ったことをいうのであるから、当該寄附金の支払のための手形の振出し(裏書譲渡を含む。)は、現実の支払には該当しないことに留意する。(昭50年直法2-21 「24」により追加、昭55年直法2-8 「三十三」、平15年課法2-7「二十五」により改正) |
■利益処分経理による指定寄附金等
| 9-4-2-5 |
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法人が法第37条第4項各号《指定寄附金等》(同項第3号を同条第6項において読み替えて適用する場合を含む。)に規定する寄附金の額につき、その確定した決算において利益又は剰余金の処分による経理により支出することとした場合であっても、現実にその支払がされるまでの間は、令第78条第1項《支出した寄附金の額》の規定の適用があることに留意する。(平10年課法2-7「十一」、平15年課法2-7「ニ十五」により改正) |
以 上 |